タイの警察と日本の警察における「繋がり」の違い。タイ旅行で重大なトラブルを避けるためには?


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タイ 警察 thai-police-line-app
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警察に対して、あなたはどんな印象を抱くだろうか?

日本でもあからさまに嫌う人が全くいないわけではない。しかし、困った時、助けてくれる存在として国民の多くがそれなりに頼りにしているだろう。

 

日本と違いタイでは警察の事を好きな人はほとんどいない。公の存在というよりも、私的な機関として利益を優先する事が多いからだ。また、汚職の数は日本の比ではない。個人だけでなく、警察組織として権力を利用した不正な利益を得るのが常習化している現状もある。

 

とは言え、タイの警察が悪で日本の警察が正義と単純に分類するべきではないと思う。タイと日本の警察の違いを理解する上では、「繋がり」を中心に置くと、その特色が分かりやすいと個人的には思っている。

 

日本の警察

shibuya japan police
http://www.japantoday.com

 

日本の警察を悪く言う人も海外と比べた相対評価をすれば、その良さを認めざるをえないだろう。日本の警察の優れた点を知る上で六本木、クラブ・フラワーで起こったいわゆる六本木クラブ襲撃事件を例にあげて紹介する。

 

六本木クラブ襲撃事件

六本木クラブ襲撃事件は関東連合OBからなる半グレ集団が、敵対するグループのリーダーと勘違いをし、31歳の飲食店経営者を集団で襲い殺害した事件である。VIPルームにいた被害者をクラブの薄暗い店内にて金属バッドで殴り、殺害した。

 

集団でかつクラブの店内という薄暗い中で犯行に及んだのは、過去の判例から殺意の認定が出来ず、刑の重い殺人罪での起訴が出来ないとわかっていたためとされる。実際彼らは殺害の意図が明確であるにも関わらず、殺人罪より量刑の少ない傷害致死罪(及び凶器準備集合罪)で起訴されている。


イベントでモメる関東連合OBと黒人のセキュリティ。石元太一氏と伊藤リオン氏は海老蔵事件主犯の2人でもある。上記フラワーの事件で石元氏は拘置所に収監されている。この事件では伊藤リオン氏は関わっていなかったようである。

 

少しでも罪が軽くなるよう過去の判例を利用した殺害で、計画的な犯行。警察もこの部分に目をつけて捜査を進めていた。集団で一糸乱れず殺人まで行えるグループは東京においても多くはない。反社会的勢力か半グレなどの知識がある若者に限られるだろう。

日本の警察は普段から繁華街にいる若者に声をかけ、暴走族や素行の悪い若者のグループを把握している。ここから関東連合の名前も出て来たとされる。東京の警視庁に限らず、全国各地の県警府警でもこうした把握を行っているのだ。

 

ターゲットを絞れば後はアリバイを含めた周辺捜査だけすれば良く、人海戦術で多くの人物が浮かび上がる。上記件とは別だが、突発的な事件では特徴のある人ほど直ぐに特定されると思った方が良いだろう。外国人や背の高い人、顔、服装に特徴のある人は人の記憶に残りやすいため、日本においては犯人の特定をより容易にしている。

 

日本では殺人事件といった重大な事件があった場合、すぐに発生現場近くの警察署に捜査本部を設ける。東京の警視庁からも専門家が派遣され、土地勘がある現地警察官を含めた数十人、数百人のチームを結成し、事件の解決のためだけに組織的に動く。被害者の周辺人物の捜査から事件発生場所の周辺の捜索など、人の記憶に頼る部分も大きいため時間との戦いとなる。

 

地方でも警察が持つ人の繋がりを含めた情報も生かして重大事故を解決する事も多々ある。繋がりを生かした捜査は日本の警察の得意なところで、先日も警察が運用するソーシャルでの事件解決が話題となった。

ネットで情報の共有が進む社会においては、日本警察の強みをより生かす事が出来るだろう。

 

タイの警察

Thailand Pattaya police crackdown
パタヤで無免許バイクを取り締まる警察官

 

タイにおいては周辺諸国から不法に入り込んだ身元不明者や犯罪組織が日本に比べて多く、繋がりを生かした捜査も難しくなる。加えて、事件が起こった場合も警察は自身や組織の利益を優先して動くのが普通だ。

タイの警察がこのように公平性を重視しないのは、給料が低いという不満があるためだろう。これが警察組織と「繋がり」が強い人達を優遇する結果となっているようにも思える。

 

バンコクは世界の金融ビジネスが成長する事で海外から多くの投資を呼び込み、製造業に留まらない多くの恩恵を受ける事が出来た。不動産などにも金が集まる事で、多くの土地成金も生み出している。

規制の少ないタイではお金の力が極めて強く、公権力では取り締まれないのを良い事に、金持ちが幅広い範囲で好き放題出来る環境にある。権力を持っても十分な給料はもらえず、金持ちが法律の範囲とはいえ好き勝手にやっていれば、警察のフラストレーションは貯まるだろう。

 

警察の汚職とコネ

そこで警察は法の支配の下で堂々と大きなお金を得られるグレーな産業には積極的にアプローチしてくる。ここから少しでもお金を流してもらうために、賄賂などを要求するのである。

例えば、ゴーゴーバーを始めとしたタイの風俗店。売春を違法とするタイでは当然営業も難しいように思われるが、現状警察の前で堂々と営業されている。ただし、賄賂を払っていない置屋と呼ばれる風俗店はどんどん摘発され、立ちんぼと呼ばれるフリーの売春婦も定期的に警察署へ連行され罰金刑を受けている。

Thailand-Pattaya-prostitutes-crackdown
パタヤで拘束されたオカマを含むフリーの売春婦達(“Undesirables” rounded-up by Police on Pattaya Beachより)。

 

タイ警察が持つ逮捕権等の権力を利用した賄賂がタイでは蔓延しているのだ。フィリピンにおいてはタイよりもこれが顕著だろう。

 

タイ旅行では警察を必要とするようなトラブルはあまり起こらないだろうが、現地でビジネスを行ったり、生活するとなれば警察が必要となる事もある。上記までの文章を読めば単にお金さえ払えば全て解決すると思われるかもしれない。しかし、現実はそんなに甘くはない。

 

自分はある場所で、日本の反社会的勢力と思われる人とタイの警察がもめている現場を見たことがある。その日本人はお金を払えば良いんだろ?といった態度で財布をちらつかせつつ、終始高圧的な態度を崩さなかった。

こうした態度が気に食わなったのか、結局彼らは警察によって連行されていった。その後どうなるかは彼らのタイにおける人脈次第となるが、タイ警察へ見せた態度からしてタイにおける現状をあまり良く知らない人達だと考えられる。

海外進出する暴力団、タイで赤っ恥 契約トラブルで銃突きつけ脅迫、重武装軍隊登場で謝罪 - ビジネスジャーナル/Business Journal | ビジネスの本音に迫る
「Thinkstock」より 近年、日本の暴力団関係者が多く東南アジアに進出しているという。以前は、カンボジアを拠点としたグループが不動産投資詐欺を行うケースが…

上記はタイの軍隊にコネを持つビルのオーナーがマシンガンで重武装したタイの軍隊を使って日本の暴力団に脅しをかけた事例である。重大事件にも発展しかね無いが、こういった脅し行為でも簡単に動かないのもタイの警察だ。

タイにおいて警察、及び軍隊に怖いものはない。いくら高圧的な態度を取ろうが、主導権が日本人側に移ることは無い。暴力団の彼らは日本で有効な交渉術の1つとしてそのような態度で望んだのだと思うが、これはむしろ逆効果にもなり得る。

 

ただ、タイ警察との交渉や一般人同士でのトラブルでも有利な方向へ持って行く方法はある。それがこうした警察にコネを持つ人物、現地の有力者を利用した方法である。

日本をはじめ先進国では、トラブルの解決のための代理人は弁護士が普通であるが、タイではこうしたトラブル時に頼るべき相手は現地の有力者である。有力者とは警察や軍にコネを持つ金持ちや政治家等で、こういった人が周りにいれば事件発生時に警察を動かす事も容易だし、トラブルも有利に持ち込む事が出来るのである。

タイでは一概に言えないが、発展途上国では日本大使館からのプレッシャーも警察を動かす力になる。これは上からの命令により事件の優先順位が上がるからだ。

 

有力者を介さないで、直接警察と仲良くなれば良いのでは?と考える人もいるかもしれない。

しかし、いち外国人である日本人とタイの警察が仲良くするのは難しいだろう。単純に日本を好きな人もいるかもしれないが、こちらの意図も何となくわかってしまうだろうし、恋愛感情なしの付き合いは基本的に考えられない。

有力者の場合は、個人的に日本旅行や日本人が好きで面倒を見てくれる人もいるし、ビジネスで関係を構築する事もあるだろう。見返りを絶対に求められないとは言わないが、様々な付き合い方が出来る分、より現実的だと言える。

 

結局タイ警察において重視される繋がりは日本と違いフラットな情報としての繋がりではないのだ。

 

タイ旅行中の重大なトラブルを避けるために

トラブルは基本的に避けなければならないが、トラブルを100%避ける事は難しい。そしてトラブルが更なる大きなトラブルを生むことは多々ある。

タイ旅行中にトラブルが起こってしまった場合、タイ人が相手なら、外国人である以上出来る限り謙遜した態度で譲歩する事も必要である。相手の言い分を全て受け入れる必要はないが、警察に対しても決して高圧的な態度を取らずに受け入れやすい態勢を整えてもらう事が大切だ。

 

日本の裁判などでは「心証」という言葉が使われるが、タイでは警察がこの部分を握っている側面もあるので、警察の心証を意識して対応する事が求められる。有力者の知り合いがいようがいまいが、警察側の心証を悪くしてしまえば取り返しの付かない事もあるだろう。この辺はしっかりと頭に入れておくべきである。

 

こういった事実を考えると、日本の女の子は有利と言える。彼氏付きの日本の女の子の場合はこの限りではないが、日本の女の子グループがトラブルの時は一生懸命解決しようとしてくれるかもしれない。それぐらいタイの男性は日本人女性に好意的だ。

そこに下心は全く無いとは言わないし、美人かどうかにもよるだろうが、彼らを動かすやる気は明らかに違うはずだ。

 

いずれにせよ、タイでは日本の警察のような、公平な対応やサポートを求める事は難しいと思った方が良い。公に奉仕してくれる存在と言うよりは、人間対人間で利益も考えるサービス業のタイ人と考えた方が適切だ。

もちろん、道を聞けば丁寧に答えてくれるし、真摯に事件へと取り組んでくれる警察もいるだろう。ただ、事件が起こり、組織で動く必要が出てくれば、個人の意向では動かない部分もあるため、これを動かせる公平な仕組みがないと難しい。現状においては、「繋がり」以外に頼る部分が無いように個人的には思えるのである。

 

旅行者も安心は出来ないので、海外旅行時のトラブル解決方法は予め目を通しておこう。

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4 件のコメント

  • 素晴らしい考察で本質に迫る洞察力に感嘆します。
    これからも下方面のお役立ち情報と共にこのような硬派な記事も楽しみにしております。
    おっしゃる通りフィリピンの警察はタイよりもっとひどいのですが、新しい大統領の元で少しでも変わると良いですね。

      • はじめまして。いつも有益な遊び情報を楽しく拝見している者です。今回の御投稿は心に響くものがありはじめて書き込ませていただきます。私もタイ人とちょっとしたトラブルが有った際に相手の知り合いのタイ人警官が出てきて理不尽な要求をされたことが有ります。その時は皆様が仰るようにフィリピンの悪徳警官のことが頭をよぎり、泣く泣く数万円の実害で事なきをえました。今般の御投稿を拝読し、つくづく本質論で解決を図ろうとしないでよかったと思いました。「タイ人が相手なら、外国人である以上出来る限り謙遜した態度で譲歩する事も必要である」と書いていらっしゃいますが、全くもってその通りでした。

        • コメントありがとうございます。
          数万円でも悔しいですが、最小限に抑えたとも言えるかと思います。
          公平では無いですが、それが普通の世界なのでしょうがないですよね。
          自分も経験ありますが、それ以降小さなトラブルでも起こさないように気をつけるようになりました。
          その時払った分は勉強代だと思って納得するようにしています。

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    付利意雷布亜(freelifer)

    東南アジアを中心に、1年のほとんどを旅行しながら生活している海外旅行のエキスパートです。
    このブログではタイやその周辺国のナイトライフ情報を中心に、アングラな世界についての紹介もしていきます。
    詳しいプロフィールはこちら。質問、意見等ある方はツイッターからどうぞ。