タイへ1度でも行った事のある人はその夜の世界に圧倒されるだろう。働く女性の多さにも驚くはずだ。こうした繁華街はタイの首都バンコクやプーケット、パタヤなどの多くの外国人が訪れる街で形成されている。
タイ人女性達が夜の世界で働く理由
タイの夜の街で体を売る女性の多くはタイ東北部のイーサン地方や北部のチェンマイ、チェンライから来た貧しい人達である。しかし、中にはバンコク出身だったり、大学まで進学した比較的豊かな家庭で育った子もいる。
彼女達が体を売るきっかけは明確である。ご想像通り、お金を稼ぐためである。発展途上国おいて、女性は何よりも体を売る事が最も手っ取り早く、それなりにお金を得られる手段として一般的になっている。
日本では手に職を持たない単発の仕事でさえ月20万円を稼ぐ事は十分に可能だが、タイではブルーカラー職で大卒者レベルにまで稼ぐことはほぼ不可能である。例えば、バンコクにあるコンビニの時給は150円程度で200時間働いても3万円にしかならない。
また大卒者でも月に5万円程度。地方から出てきてバンコクでもそれなりに給与の高いとされる金融関係でも月10万円を超えればかなり良い方で、タイ全体で見れば世帯における一人あたりの収入が月12万円を越えれば富裕層(上位10%)となる。
では、夜の世界で働く女性達はどのぐらいの収入を得ているのだろうか?
タイ人女性が売春で稼ぐ額
タイの人気夜遊びスポットとしてゴーゴーバーがある。ゴーゴーバーは外国人観光客にも人気で、稼げる額も比較的多いだろう。
働く女性本人に聞いてみたところ、 バンコクの人気店では無断欠勤が無く、ほぼ毎日出勤すれば月に5~6万バーツ(日本円で18~22万円程度)の給料を貰えるとの事だ。これは基本給で、ここに客からのチップが加わる。得られるチップの額は人それぞれだが、1日あたり2500バーツから5000バーツ、日本円にすると9000円から18000円がバンコクの相場である。
給料とチップを合わせ、日本人を含めた外国人から人気のある子となれば月50万円以上は貰っていると考えた方が良いだろう。
フリーの売春婦達も1日7000円から15000円、人気嬢となれば月30万円程度は稼いでいると考えられる。
夜の世界で働くまで
タイにおいて、夜の世界に入るルートは様々である。一番多いのが身内や友人といった知り合いを通し、働き口を紹介してもらうケースかと思う。実親が生活に困って積極的にこういった世界で働くよう娘に薦めるケースもある。
夜の世界は入るまでがハードルが高いのは我々でも何となく想像が付く。知り合いが在籍していたり、親の知り合いが経営している店なら本人の意志も尊重してくれると思いその一歩を踏み出すのである。
また、タイには店等に在籍せずに売春を行うフリーの売春婦、援助交際も多い。立ちんぼと呼ばれる繁華街やホテルの前で客に声をかけられるのを待っていたり、出会いカフェと呼ばれるバーで客を求めている。出会いカフェにかんしては、バンコクであればテーメーカフェが非常に有名で、連日多くの日本人客で賑わっている。
テーメーカフェが入居するホテルの前。このホテルの地下に出会い喫茶があるが、ホテルの前にも客を求める女性が立っている。
ディスコでも、こうした売春婦と客を引きあわせているところがある。ディスコに若い女性が集まるのは日本でも同じであるが、ここでは店側が女性に声をかけてスカウトする場合もある。バンコク出身者など、比較的裕福な過程で育った女性の場合も、頻繁にディスコへ通えば、体を売りお金を得る機会に巡り合うだろう。
ディスコでは、客がテーブルチャージの際のボトル等に使った額の一部を女の子にマージンとして渡している場所もある。ディスコへ踊りに行こうと女性に誘われるのもそういった事情が絡んでいる可能性は高い。
彼女の友人からの誘いでそういった場所へ行く場合はその友人にマージンが入っていると思われる。
バンコクのスクラッチ・ドッグ。ここにも誘った女の子にマージンが入るシステムがある。
リクルーティングを含めて、タイのディスコは日本と違い様々な方法で収益を上げているようだ。
都会と田舎の売春
観光客も多く、都心部で売春をする女性達は自分の意志で体を売るケースが多い。バンコクやその他観光地で働く夜の女性達は、我々外国人が思う以上にお金に恵まれていたりする。しかし、田舎やタイ以外の東南アジアの貧しい国となれば、ほとんどの女性が自分の意志ではなく、こうした仕事を始めている。
バンコクなどの都会へ行けばもっと稼げるにもかかわらず、彼女たちにはそのような選択肢が無いか、知識としての情報が不足しているのだ。
なぜバンコクへ行かないのか?と聞けば、バンコクは怖いところと考えていたり、両親の都合で数年地元の店で働く契約になっていたりと理由は様々である。よく日本でも東京に出るのが怖いと言って、地元にとどまる人もいるだろう。都会が怖いという考えはどこでも一緒だ。
ただ、都会ほど自分の価値を高めてくれる場所は無い。美人が地元のヤンキーと結婚するケースがあるが、都会であればもっと自分を高く評価してくれる人と巡り合う事が出来るだろう。売春業だってそうである。地方で埋もれてしまい自身を安売りすのはあまりにも勿体無い気がするのである。こうした部分からもいかに比較するだけの情報を持つことが大事か気付かされる。
ソーシャルを使ったマーケティングと求人
売春の相場や自分の価値を知っている女性は安売りもせず、適正価格で売り出す事がより容易となる。例えば、ソーシャルを使った営業もそうだ。彼女たちとソーシャル上で知り合いになると、タイムラインにセクシーな写真を載せたりして再度自分という「商品」を顧客に売り込んで来る。
彼女たちはマーケティングを学問として学んだのではなく、本能的にこういったビジネス知識を身に付けているのだろう。顧客の競争心も煽り、女性としてのブランドを高めるのにもソーシャルはもってこいである。
他にも、ソーシャルは夜の世界の求人にも一役買ってる様に思える。タイの女性たちは車だったり、買ったブランド品も積極的にソーシャルへシェアし自慢している。こうした急に羽振りが良くなった友人を見て、夜の世界で働くことを考える女性も多いようだ。
車やブランド品は一般のタイ人からすれば手の届かないものである。しかし、売春で稼ぐようになれば1桁違う金額のお金を手にする事が出来るようになる。
昼の仕事と比べると、下手をすれば10倍以上の額を短時間で稼いでいるケースもあるだろう。お金を手っ取り早く稼ぐたいと考える若い女性達が多い理由も理解できるはずだ。
ソーシャルが発達したのも個人を売り込む事でバックが得られる環境が日本よりも整っているからかもしれない。タイでは美人はその美貌を生かした職に付く傾向が日本よりもある。キャンペーンガールやレースクイーンもそうだ。
デパート内のキャンペーンガール。タイのキャンペーン・ガールは美人ばかりである。
タイの女性が夜の世界に入ってから
稼げるようになった女性の多くは車の購入をしたり、いい場所へ住んだり、高い物を買ったり、生活に大きな変化が生まれる。ただし、当たり前の話として、夜の仕事をはじめてから生じた車の維持費や家賃、彼氏や両親へのお小遣い、仕送りのお金。これらを維持するには普通の仕事では難しくなる。
また、売春は短時間で稼げる事は確かだが、精神的な負担も多い。今の生活を維持できるならすぐにでも辞めたいと考えている女性も多いはずだ。
こういった事情から、女の子達は自身の生活が維持できるぐらいの資金力を持つ男性を探すようになる。お金目的で男性に近づくと言えば聞こえが悪いが、彼女たちは自分の生活が維持できるぐらいの額を使ってくれる男性を求めている。最初は愛人に近い関係であっても、直接結婚関係を結びたいと考えるようになるだろう。男性が定額を女の子へ支払う事で囲い込んでいるケースは人気嬢ほど多くなる。
定期収入が得られるようになれば、不特定多数を相手にした売春業を辞めるのが普通だが、更に稼ぎたいと思っている人はこっそりと続けていたりする。
若くて需要のあるうちは将来の心配などする人は殆どいないと思うが、自分よりも人気のある子が出てくれば当然焦りは生まれるはずだ。愛人契約も相手が既婚者で駐在員などの立場であれば数年後には別れが来る。一生このような体を売る生活が出来るとは思わなくなるだろう。
夜の世界に一旦入れば自分自身で稼ぎ続けるか、自分よりも稼いでいる人を見つけてそこに依存するのが一般的である。一部には田舎へ帰って余生をのんびりと過ごす人もいるだろうが、一度お金で人間関係を再構築してしまうと様々な困難が生じる。自身のお金に依存していた両親と仲が悪くなるケースも多々あり、売春を辞めた後においても、お金を中心に考えなくてはならなくなる。以後の人生においても様々な困難が待ち受けるだろう。
日本にいただけではこうした部分に興味を持つことは無かった。彼女たちの事情も偏見に満ちた知識から勝手に想像していたのである。しかし、実際に今まで知り得なかった世界のことを知ると、どれも納得の行く結果となってしまっているように思える。
売春業に従事していたとわかれば、日本はもちろんタイでも差別の対象となるが、同じ環境で育てばどんなに意志の硬い人でもその道を考えるはずだ。彼女たちと接する場合にも、表面上だけ見て人を差別するような事はしてほしくないものである。